ランニングにおける水分補給~ランナーなら知っておくべき水分補給の基礎

水分補給
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こんにちは、takaです。

みなさんは、水分補給の重要性って理解していますか?

ランニング・マラソン中の水分補給はとても大切で、パフォーマンスに大きく関わります。

今回は水分補給の重要性や、どんなものを補給すればよいかについてお伝えしていこうと思います。

この記事を読むと分かること

  • なぜ水分補給が必要なの?
  • 水分補給が足りないとどうなる?
  • どんなタイミングでどんなものを飲めば良いの?
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目次

人はなぜ水分が必要?

一日の水分出納

人体の約60%が水分

性別や年齢によってこの値は変わります。筋肉の約80%を水分が占めるのに対して、脂肪は水分を約20%程度しか含みません。体脂肪率が男性よりも高くなる女性では、そのぶん体水分率も低くなります。

一日に約2500mLの水分を摂取、排出している

2500mLのうち大半(約2200mL)を飲料と食物から摂取しており、残りを代謝(糖質や脂肪を酸素と反応させてエネルギーを作り出す反応)で発生させています。

一方、排出量の大部分が尿や汗などで排出されますが、息を吐く際にも水分が水蒸気という形で排出されます。(1日の水分排出量の約1/10)

運動時の体温上昇と体温調節

運動時には体温が上昇する

運動時、代謝で糖質・脂質からエネルギーを得ていますが、実際に運動(物理的な仕事)に使われるのは約20%で、残りは熱に変換され体温を上昇させています。計算上では、体重70㎏の人がランニングを1時間行った場合、生体内で発生した熱が全く発散されずに、体内にこもってしまったら、体温が43℃程度にまで上昇し、死に至ってしまいます。

体温を調節するために発汗作用が働く

少し専門的な話になってきますが、上の図のように、運動時に体温が上昇すると、脳にある視床下部と呼ばれる体温調節中枢が体の各器官に指令を出して、熱を下げようとする働きがあります。

一つは、皮膚血管を拡張して皮膚の血流量を増やすことで、血液を外気に触れさせて熱を放散する機能(車のエンジンの熱を冷却するためのラジエーターのような仕組み)があります。熱い環境での運動の方が心拍数が増加するのはこのためです。

皮膚血流量増大でも体温の上昇が抑えられない場合に、二つ目の発汗作用が始まります。発汗は、汗(水分)を体表面に出し、その水分が蒸発する際に熱を奪う気化熱を利用することで体温を放散することです。

このように皮膚血流量の増大発汗作用により熱が放散されることで、暑い環境でも生体の機能を維持できています。

脱水になると・・・

脱水が進むと、体水分の節約・保持が優先されて発汗作用が抑制されてしまいます。その結果、熱が放散できずに熱中症になってしまいます。熱中症で体温が上昇しすぎると、生体内のたんぱく質が変性(卵をゆでると白く固ままってゆで卵となり、元の生卵には戻らない。これも熱変性の一例)し、最悪の場合、命を落とすこともあります。

発汗量とパフォーマンスへの影響

1%

大量の汗、喉の渇き

2%

強い渇き、めまい、吐き気、ぼんやりするなど

3%

汗が出なくなる

4%

全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、感情の不安定など

6%

手足の震え、ふらつき、頭痛、脈拍・呼吸の上昇など

8%

幻覚、呼吸困難、めまい、言語不明瞭、精神錯乱など

10~12%

筋痙攣、失神、せん妄および興奮状態、不眠、循環不全、血液凝縮および血液減少、腎機能不全

15~17%

皮膚がしなびてくる、飲み込み困難、目の前が暗くなる、聴力損失、舌がしびれるなど

20%以上

生命の危険、死亡

上の表は、脱水量(体重の何%か)と、出現する症状をまとめた表です。気温が30℃の場合、おおよそ体重の2%の脱水でパフォーマンスが低下すると言われています。気温が20℃程度と低い場合は、3~5%の脱水でパフォーマンスが低下し始めるようです。

水分摂取で心臓への負担、体温の上昇を抑える

発汗により体水分量が低下すると、血液量が減少します。血液は体中の組織にエネルギー・酸素を供給する役割があり、不足すると、足りない分を心臓がより活発に働くことで補おうとします。逆に言えば、失われた水分量と同程度の水分を摂取していれば、心臓への負担を減らすことができます。

このように、発汗量と同じ量の水分を摂取することで心臓への負担増大を予防でき、体温の上昇も低く抑えることができるため、水分補給が重要なのです。

体水分量を調節するメカニズム

浸透圧調節系と容量調整系

生体内における体液量の調節は、「浸透圧調節系」と「容量調整系」の二つがあり、暑熱環境における咽の渇きと深く関係するのは「浸透圧調節系」であるといわれています。発汗にともない水分が失われると、体液が濃縮され浸透圧が上昇します。(体液が濃くなる)これを脳にある浸透圧受容器が感知することで、口渇感が生じるようになっています。

口喝時に水分だけを摂取していると・・・

汗には水分だけでなく、様々な物質を含んでおり、特に塩分を多く含んでいます。つまり、汗をかくことで、水分と塩分の両方とも体外へ排出されます。ただし、水分の喪失量の方が多いため、体内では塩分濃度が高まり、浸透圧が上昇=喉の渇きが生じます。このような状況で水分だけを大量に摂取してしまうと、体内の塩分量が減っているため、運動前よりも浸透圧が低下してしまいます。そうすると「低ナトリウム血症」(水中毒)といわれる状態になり、吐き気や頭痛、意識障害などを引き起こすことがあります。

そのような症状を防ぐために、私たちの身体は、浸透圧が戻ったところで飲水行動をやめるような指令が働くようになっています。つまり、体内の水分量が減少したままの状態で水だけを飲むと、少ない飲水量でも浸透圧が回復してしまい、「咽が渇いた」という気持ちが薄らいでしまいます。また、水だけを大量に摂取したとしても、尿量を増やすことで水分を体外へ排出し、浸透圧をもとに戻そうとする作用が働きます。その結果、脱水状態は一向に回復しないことになります。

塩分補給も重要

上記のような状態にならないためには、水分だけでなく、塩分を一緒に補給し、体内の塩分量も元に戻す必要があります。経口補水液やスポーツドリンクに塩分(主にナトリウム)が含まれているのは、このためです。

では、塩分はどれくらい含まれていればよいのでしょうか。日本救急医学会によれば、食塩濃度0.1~0.2%が推奨されており、ナトリウム濃度にすると100mLあたり40~80㎎となります。市販のスポーツドリンクも40~50㎎程度のナトリウムが配合されているものが多いです。

スポーツドリンクの効果

スポーツドリンクの組成

スポーツドリンクの中には、ただ単に水分やナトリウムを補給するだけではなく、運動時の主なエネルギー源である糖質も同時に補給できるように設計されているものが多いです。運動中の糖質摂取とパフォーマンスに関する研究では、糖質濃度が6~8%の溶液を摂取することで、長時間運動時のパフォーマンスが改善できるだろうとの結論が示されています。

ハイポトニック飲料とアイソトニック飲料

スポーツドリンクには主に、アイソトニック設計ハイポトニック設計になっているものの2種類があります。

アイソトニックとは等調整ということを意味しており、体液とほぼ同じ浸透圧のものを指します。一方、ハイポトニックとは低浸透圧のことであり、体液よりも浸透圧が低い状態となっています。

アイソトニック飲料は、安静時においては体液と同じ浸透圧のため、水分・糖分・塩分がバランスよく吸収されます。しかし、発汗により塩分の排出が多いと、体液の浸透圧が低下するため、運動時の水分の吸収スピードは遅くなります。

ハイポトニック飲料は、運動時、汗をかいて体液の浸透圧が低い状態だと、アイソトニック飲料よりも水分の吸収が早くなります。発汗量が多い場合は水分補給が優先されるため、ハイポトニック飲料の方が適しているといわれています。

運動前後の水分、エネルギー補給→アイソトニック飲料                        発汗量が多い運動中の水分補給→ハイポトニック飲料

上記のようにスポーツドリンクの摂取方法、タイミングを使い分けると、より効果的かと思われます。

参考本

今回、参考にさせていただいたのは「スポーツ栄養学」の本です。ここで紹介した内容よりも、もっと詳しく、生理学を交えて専門的に解説してあります。水分補給の話だけでなく、スポーツ栄養全般について詳しく書かれていますので、気になった方はぜひご覧になってみてください。

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